看護師が知っておくべき診療の補助・看護業務の範囲

毎日お仕事を頑張っている看護師の皆さん、お疲れ様です。

皆さんは“診療の補助・看護業務の範囲”について、疑問に思った経験はありますか?

最近、私の身近で診療の補助・看護業務の範囲に関するヒヤリハットがあった事をきっかけに、私もこの診療の補助・看護業務の範囲について改めて勉強していると、SNS上でも同じ看護師の方や他職種の方が誤認していたり、周知出来ていない事がたくさんあるなと思い、この記事を書こうと思いました。

臨床においては院内におけるプロトコール、医療安全マニュアルに沿って行っていると思いますが、実際に診療の補助・看護業務の範囲について調べてみると、人の命を預かるお仕事の為、やはり看護業務の範囲はグレーゾーンな事が多い。

その為、具体的な看護業務の範囲がまとまって明記されている事は少なく、また法的な責任もあり病院によっても異なるため、文章化するのは難しいようです。

私も実際記事を書く上で、文章化する事が難しく感じましたが、診療の補助・看護業務の範囲において分からない方の為に、恩師に確認しながら出来るだけ具体的に記載してみたので参考になれば幸いです。

看護師の診療の補助・看護業務の範囲とは?

まずは一番要となる法律から改めて振り返りたい思います。

看護師の定義

『保健師助産師看護師法(保助看法)』 第1章 総則 第5条

 

この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う事を業とする者をいう。

看護師業務の制限

『保健師助産師看護師法(保助看法)』 第4章 業務 第31条

 

看護師でない者は、第5条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合は、この限りでない。

特定業務の禁止

『保健師助産師看護師法(保助看法)』 第4章 業務 第37条

 

保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。

ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。

上記のように、明記はされているが具体的に看護師が行なって良い業務、行なってはいけない業務を一覧で明記されている訳ではなく、それは緊急時は勿論、命に関わる業を行う職である事から、全てを法律で縛る事の出来ない倫理的な問題も考慮されている為だと思います。

これが看護師業務グレーゾーンが多い理由であり、診療の補助・看護師の業務範囲に対して問題が生じた場合には、法的には個人では責任が取れない場合も多く、厚生労働省の医療指導班などが各病院でのプロトコール作成指導をしている為、医師の指示のもと、そのマニュアルに沿った診療の補助行為であれば行政処分になったり、症例や全体的な背景をもとに評価されるそうです。

看護師が行ってはいけない業務とは?

では、看護師が行なってはいけない業務って具体的になんでしょうか?

これは上記の法律を理解した上で、今働いている病院又は施設等の医療安全マニュアルなど、プロトコールを確認する必要があります。きちんと教育制度の整っている病院であれば、オリエンテーションや院内教育では必ず説明されると思いますが、何かあった時に看護師として自分の身を守る為には、院内の規定に沿って行なっていたかどうかも裁判では重要事項です。

以上を踏まえた上で、これまでを振り返ると臨時応急など緊急時の手当の際には、看護師も医師の指示がなくても適切な根拠の上、アセスメントを行い医行為を行える事が分かったと思います。

では、緊急時以外で看護師はどこまで診療の補助行為を行ってはいけないのか…

それを一覧にするのは困難ですが、簡潔に言えば一般の医行為以外の絶対的医行為と特定医行為で生命に与える影響が強い医行為です。

また、絶対的医行為は医師のみ行えるもので、特定医行為は医師の指示のもと診療の補助行為として看護師が特定行為を行う事ができるものもあります。

それが、特定行為に係る看護師の研修制度を修了した看護師による特定行為なのです。

下記では、少し分かり難いとされる看護師が行なってはいけない具体的な業務を分かりやすくするために、間違いやすい看護師がやってはいけない行為(それは特定行為である)を理解しやすいようにまとめてみました。

特定行為

臨時応急など緊急時の手当や助産師業務以外にも診療の補助行為を行う事ができるのが、特定行為です。

特定行為は、診療の補助であり、2025年に向けてさらなる在宅医療等の推進を図っていく為には、医師の判断を待たずに手順書により、一定の診療の補助を行える看護師を養成する事を目的に創設されています。

看護師が手順書により特定行為を行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる38行為があります。

ここでは、特定行為38行為中において、今回ヒアリハットがあった事例や私が調べた過去のアクシデント事例から、特に誤認しやすい行為を絞って下記にまとめてみました。

 

<誤認しやすい4行為>

 

①直接動脈穿刺法による採血

②硬膜外カテーテルによる鎮静剤の投与及び投与量の調整

③抗けいれん剤の臨時投与

④抗精神病薬の臨時投与

看護師が出来る事と出来ない事の判断

今回、この記事を書くに連れて法律に関わる事から、実際を調べながら大変時間を掛けて作成する事で自分自身も大変勉強する事ができた。同時に、看護師における診療の補助の範囲における解釈は誤認や周知され難い現状も分かった。

例えば、昭和26年に通達されていた静脈注射は保助看法の適用範囲外であるという行政解釈に対して、平成14年には実際の現場において静脈注射を看護師が行なっていた背景から、静脈注射が保助看法の診療の補助と該当すると通達があり今日に至っている。

この事からも分かるように、時代と共に基礎教育や院内教育が整えばやっても問題にはしないが法的根拠はないという事も多々ある。

今年度(平成30年)においても、小児科学会より、医師の指示がない場合の子供における緊急時の気管カニューレ再挿入の行為を特定行為であると誤認しており、生命の危機に陥ってしまう現状がある為、保助看法違反ではい事を厚生労働省に確認をしている程、診療の補助については誤認されやすく周知し難い問題なのだと再認識出来ました。

医師の指示・緊急時の判断に困った時

研修医や医師が看護師の診療の補助における範囲を分からずに、看護師業務の範囲であるのか微妙な指示が出た時や緊急時に当たった時には今日の記事を参考にして頂ければ幸いです。

また、これまで学んで来た根拠とアセスメント能力を活かして対応しましょう!!

そして、日頃から振り返りや勉強をしておく事で緊急時にも対応出来るように、私も頑張りたいと思います。

<参考文献>

1)小沼 敦:看護師の業務範囲についての一考察」ー静脈注射と産婦に対する内診を例にー

2)厚生労働省公式ホームページ:http://mhlw.go.jp

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